素晴らしきかな、コーチング
皆さんこんにちは。営業統括本部の三浦です。
今回から数回に渡り、昨年からクラスメソッドが取り組んでいるコーチングをテーマにしたブログを執筆したいと思います。
クラスメソッドでは2021年2月から社内コーチングプロジェクトを立ち上げ、約60名のメンバーが6ヶ月間のコーチングを受けました。今年1月からは第2弾を開始し、現在も40名を超えるメンバーがコーチングを受けています。
クラスメソッドがコーチングを取り入れることになった背景や実施したコーチングの内容、またそれによって得られた成果の共有、更には、本ブログを読まれた方々がコーチングの素晴らしさに気づき、皆さん自身がコーチングを取り入れるきっかけになるような情報を提供できればと思います。
コーチングとは?
クラスメソッドがコーチングプロジェクトを進めるにあたり、多大な支援を頂いたのが株式会社コーチ・エィです。 コーチ・エィ社は企業に対しコーチングを通じた組織開発支援を行なっている会社です。コーチ・エィ社はコーチングを以下のように定義しています。
コーチングとは、対話を通して、クライアント(コーチングを受ける人)の目標達成に向けた能力、リソース、可能性を最大化するプロセスである。
一見すると何か大変な取り組みを伴うかのように見えてしまう定義ですが、実際にコーチングの中で行われることは、この定義に書かれている対話のみです。コーチングをする人とコーチングを受ける人が1対1で対話、つまり話をし、その話しの中で目標達成に必要な気づきを一緒に生み出していく取り組みです。
コーチ・エィ社のコーチングでは、コーチングをする人=IC(インターナルコーチ)、コーチングを受ける人=SH(ステークホルダー)と呼ぶため、以降は、略称で記載をします。
対話とは?
普段私たちがよく使う対話に似た言葉に、 会話 があります。どちらも話をするという意味を持った言葉ですが、明確な意味の違いがあり、ことコーチングにおいては 対話 を大切にしています。
会話 → 2人、または少人数で向かい合って話し合うこと。 対話 → 向かい合って対等な立場で話すこと。言葉を交わすこと。
辞書によっては同じ意味で扱われることもあるようですが、コーチングにおいては上述したような意味の違いがあります。特に重要な違いは、対等な立場で話すという点です。
コーチングという言葉を聞くと、無意識に自分よりも立場が上の人に、何か指導をしてもらうようなイメージを持ってしまうかもしれません。スポーツにおけるコーチングであれば、確かにその側面があるかもしれません。しかし、ビジネスにおけるコーチング、ひいてはクラスメソッドがコーチ・エィ社から学んだコーチングはそうではなく、ICとSHはあくまでも対等な立場で話しをする、つまり対話をすることに重きを置いています。
ICはコーチングの中で取り扱うテーマについて答えを持っているわけではありません。だからこそICはテーマについて一緒に考え、答えを探すために必要な様々な問いをSHに投げかけていきます。
コーチングで扱うテーマ
コーチングは、1回30分から60分程の時間を使い、様々なテーマつについて対話を行ないます。それらのテーマに共通していることは、「重要かつ緊急でないこと」です。
通常、仕事は ①緊急かつ重要なこと から進めていきます。そして多くの人が次に優先するのは ②重要かつ緊急でないこと ではなく、③緊急かつ重要でないこと です。
コーチングでは、普段後回しにされがちな、②重要かつ緊急でないこと について、時間を割いて対話することで、中長期的に会社やその人の人生にとって重要な気づきを生み出していきます。
ちなみにですが、クラスメソッドのコーチングプロジェクトで設定している共通のテーマは、
「全員がビルダーであり、組織で成果を出すプロフェッショナル集団になるためには」
です。
問いについて
コーチングでは、ICがSHに対して様々な 問いを投げかけます。問い は深みのある質問といったところでしょうか。私なりの定義を言うのであれば、
「簡単に答えられない脳みそに汗をかくような質問」
と言う感じでしょうか。
実際にコーチングの中で出てくる問いは以下のようなものです。せっかくの機会なので、是非皆さんも以下の問いについて考えてみてください。きっと '簡単に答えられない脳みそに汗をかく' という表現がおわかり頂けるのではないかと思います。
問いの例
- 皆さんの今の仕事は、皆さんの人生においてどのような価値があると思いますか?
- 皆さんの今の仕事は、皆さんの会社にどのような価値をもたらしていると思いますか?
- 皆さんの今の仕事は、社会にとってどのような価値をもたらしていると思いますか?
- その価値を最大化するために、向こう3年で皆さんがやった方が良いと思うことはなんですか?
- その価値を最大化できたとき、皆さんや皆さんが所属しているチームはどうなっていそうでしょうか?
- 皆さんの理想の姿を10とした時、今は何ぐらいですか?
- その間を埋めるために、自分に足りていないと思うことは何ですか?
簡単に答えられたと言う方は、きっと普段から自己対話ができている人だと思います。
コーチング導入の背景
私がクラスメソッドにJoinした2018年当時の売上は74億円、従業員数は150名ほどでした。その後急成長を続け2021年度の売上は304億円、従業員数は388名、グループ全体では500名を超える規模になりました。
今後も成長し続けるためには、上からの指示命令を受けて動く組織ではなく、社員それぞれが主体的に考え自ら動く組織を構築する必要があり、その方法を探している中でコーチングというものに出会いました。
実施したコーチングの概要
2021年2月に開始した第1弾のコーチングプロジェクトでは、10名のIC、50名のSHが選出され、半年に渡って以下のような内容を実施しました。
<ICが行ったこと>
- コーチ・エィ社のプロコーチからのコーチング。(隔週1回45分程度)
- 全24回のオンラインクラスの受講。(週1回1時間程度、前後の予習復習)
- 5名のICに対するコーチングの実施。(隔週1回45分程度)
- 自身の目標達成に向けた行動。
<SHが行ったこと>
- ICからのコーチング(隔週1回45分程度)
- 目標達成に向けた行動。
<その他>
- 中間報告会
- 成果報告会
コーチングで得られた成果
コーチングによって得られる成果は定量的に計測しにくい部分が大きいですが、参加したIC及びSHの多くが、数年後に実現したい自身の理想の状態、そのために今クラスメソッドや自身がやるべきこと、を明確にでき、第1弾の6ヶ月の間には様々なタスクフォースや新たな行動が発生しました。
以下にSHが起こした行動変容の一部をご紹介させて頂きます。
<Aさん>
以前からチームリーダーであったが、「マネージャーというわけではない」という考えから、ITスキルに関する部分はリードしていたものの、メンバーに対してそれ以上突っ込んだ関係性を構築しようとはしていなかった。しかし、コーチングをきっかけに、マネージャーではないものの、1on1をメンバーに対して実施するようになり、それぞれが抱えている課題が見えてきた。これらの課題は、リーダーとしてサポートしてあげるべき内容であり、それらの解決は、チーム全体によって非常に有益になるものであった。これらを、メンバーとの対話を通じてサポートすることで、メンバー自身も能動的に課題を解決できるようになり、チーム全体がより「ビルダー」に近づいたと感じた。
<Bさん>
コーチング期間中の成果として、◯◯◯部を立ち上げることができました。コーチングを受ける前は、すべて自分がやらなければという思いが強く、プロジェクトの現場担当から顧客やパートナーとのやり取り、契約処理全般まですべて自分で抱えることで、自分の価値を示そうとしちゃっていました。その結果、私自身がボトルネックになり、組織のスケールが滞ってしまっていたと思います。コーチング期間中にチャレンジとして、自分が抱えているすべての業務を仕組み化、もしくは他人に引き継ぐことにチャレンジした結果、元々抱えていた定常業務はすべて私の元から離れ、私がいなくても業務が回るようになりました。自分がいなくても業務が回るということは、私自身の存在価値が無いように感じられ、その状態にすることには大変勇気がいりましたが、自分がいなくても業務が回り、かつ私自身が何もやることがなくなったら、その時は会社を辞めれば良いかと考えたら気分が楽になり、チャレンジすることができました。またいざ自分の手が空くと今までなかなか時間が取れなかった部署やメンバーとの1on1や、手を動かさずに頭を使う時間をとることができるようになり、自部門の組織づくりに集中することができるようになったと思います。これら経験を通しての学びとして、以下2点があります。
- 任せられることはどんどん任せていくと、組織が回り始める
- 人が守りに入った時に組織は硬直化するので、自分の仕事を守るような考えは捨てる
◯◯◯拠点立ち上げという、次のゴールも明確になったため、今回のコーチングの学びを活かして、主体的に取り組んでいきたいと考えています。
<Cさん>
コーチングのプロセスを通じた感想としては、まず単純に楽しかったです。 毎回のセッションの中で、コーチとステークホルダーの双方が何かしらの気付きを得られるという体験、頭の中をリアルタイムに整理して課題やそれに対するアクションを絞り込んでいく体験はかなり新鮮で有意義だと感じました。 結果として、自分の目標を「組織内の横の繋がりを強化し、ナレッジ・ノウハウが共有された体制を作ることで、組織に余裕を作り出し、メンバーのメンタルや組織の利益を守ること」と定めましたが、全セッションを完了した段階でその為のベースラインが出来上がったという認識です。現在は、そのベースラインの上に、さらに具体的な活動が幾つか開始していま す。 コーチング体験の中で得られた気づきとして、重要だと感じていることが3つあります。 1つ目は、組織に変化を起こすためのプロセスとして、まず自分が火付け役になり、かつ継続的に働きかけることが重要である、ということです。誰かがやってくれるのを待っていても何も起きませんし、一度問題提起したり正論を述べたところ で、理解・納得・賛同は中々得られにくいです。やはり粘り強く働きかけることによって、組織全体を緩やかに動かすこと、 良いアイデアを浸透させることができると考えています。 2つ目は、同様の課題感を持っているメンバー、仲間を見つけて巻き込むことです。仲間を見つけることで、課題に対する 対応力が自分ひとりの状態と比べて大幅に上がり、それを他のメンバーに共有・伝搬することも容易になります。 3つ目は、スモールスタートです。後半の時期に実施したセッション内で「次回までにやってみるアクション」を設定する際に「5分10分でできるような小さなアクションを設定してみる」という方針にした結果、設定したアクションを全て実施することが出来ました。実際には5分10分で収まらなかったとしても、取り掛かるハードルを下げて、確実に実行し、その成功体験を得ることが良いサイクルにつながると実感しました。
コーチング文化の構築に向けて
参加メンバーの様々な行動変容から、クラスメソッドはコーチングの価値を理解しました。
ICとして参加した10名は全員、生涯学習開発財団認定コーチという認定資格を取得し、1月から始まった第2弾の社内コーチングプロジェクトでもICとして新たなSHに対してコーチングを実施しています。また、コーチング文化をより広めるために、第3弾の参加メンバー募集はもちろんのこと、コーチングに関する社内研修の整備等々を進めています。
今回は、1回目のコーチングブログということで、概要のお話が中心でしたが、次回以降はコーチングに必要な心構えや具体的なコーチングフレームワーク等にも触れていきたいと思います。楽しみにお待ちください。